ベイトリールのスプール回転テスト
よろしければ、お手持ちのベイトリールで上図のようなスプールの回転テストを行ってみてください。スプールが回りはじめてから完全に静止するまで何秒かかりますか?
参考までに私の「スパルタンRTTW100XH」の回転持続はおよそ「7秒」でした。
このスプールの回転持続がなんと7秒 ⇒ 40秒になる
カッ飛びチューニングがあります!
そのチューニングとは…
「ドライベアリングコーティング」だぁっ!(`д´/;)/
完全オイルレス ベアリングコーティング『Revolution BB』
ミニ四駆やハンドスピナーでは有名な処理のようですが….
はて…
なんのこっちゃ…(=_=)?
コーティング対象となる2つのボールベアリング
「スプール」と「サイドプレート」には
ボールベアリングがそれぞれ1つずつ計2個付いています。
クラッチを切るとスプールとシャフトが分離され、この2つのボールベアリングが支点となってスプールが回転します。(ダイワの場合スピードシャフト、シマノではスーパーフリースプールと呼ばれる構造です)
たとえば「飛距離がほしいベイトフィネス」や「落下速度がほしいイカ釣り」ではこの2つのボールベアリングがより滑らかに回転するほど有利と言えますね!
ボールベアリングの構造を知ると、
より良いメンテナンス方法が見えてくるかもしれません^^
ボールベアリングの構造
ベアリング内部にはボールが複数個配置されています。これがBB(ボールベアリング)と呼ばれる所以です。
このボールによって、スプール軸は摩擦を減らして回転をはじめ、ボールが回りはじめてからはその慣性によりさらにスムースに回転を続けるという仕組みです。
平面的に見るとわかりやすいです。
ボールをはさむと摩擦抵抗が減って板がスムースに移動します。
この板が、輪っか状になれば、
慣性にしたがい板は回転し続けようとします。
それがボールベアリングです。
ボールによって摩擦を減らし、回転性能を上げるわけですね!
さてスプールBBはできるだけその摩擦を減らすために「グリス」ではなく低粘度の「オイル」をさすというのが釣行毎の基本メンテナンスとなっております。(説明書にも記載があります)
飛距離を求めるアングラーのために「スプールBB専用の低粘度オイル」や「ベイトフィネス専用の高純度オイル」が売っているくらいですからBBの摩擦を減らすのはいちテーマなわけです。
ですがオイルは、低粘度とはいえドライに比べれば摩擦があります。よってオイルを付ければベアリングの回転性能はドライと比較すればどうしても落ちます。
実はベアリングはドライであるほうが遥かに回ります。
しかしドライでは「潤滑」が得られず寿命が縮んでしまうので通常はオイルをさします。
そこで、
レボリューションBBカモン!(`д´/;)/
完全オイルレス ベアリングコーティング『Revolution BB』
簡単処理!「塗布して回すだけ」
今までに無い皮膜形成。ドライベアリング処理の決定版!
オイル潤滑と違い液体抵抗が無いので転がり抵抗が激減!
動き出しの軽さと回転持続は抜群です。
ドライなのに高い耐久性。硬い皮膜を形成し、耐熱性 耐湿性にも優れています。
【注意事項】
●オイルレスですので、特殊な用途向けです。ベアリング本来の推奨される使い方ではありません。
●ベアリングに対する荷重のかかり方によっては、ベアリングが傷んでしまう恐れがあります。使用環境をよく検討の上使用ください。
商品説明より引用
もちろん使用は自己責任ですが、レボリューションBBの取り扱い動画を見ると上のほうにリールが写っているのできっと大丈夫でしょう(笑)
さぁやってみよーヽ(`Д´;)ノ
準備
PEラインに液剤がつくと面倒なので、あらかじめ高速リサイクラーなどでPEラインを抜き取っておきます。(推奨)
必要な工具をそろえておきます。
手順(スプールベアリングのドライ処理)
一例としてシマノスティーレ100XGの
スプールベアリングに必要なドライ処理手順を紹介します。
サイドプレートを外してスプールを抜き取ります。
スプールベアリングの「分解」「脱脂」「ドライ処理」を順に行います。
まずは作業に邪魔な「スプールピン」を抜き取ります。
スプールピンを抜き取るにはスプールベアリングリムーバーを使います。使用方法は説明書に詳しく記載されているのでここでは割愛します。(とても簡単です)
スプールピンを抜き取り、
ベアリングも抜き取ります。
余談ですがスプールシャフトの錆びは、
パーツクリーナーで瞬殺です^^
ベアリングの分解、脱脂
ベアリングを分解します。
まずは「シールドの留め具」を外します。
「シールドの留め具」は溝にハマっているだけなので、
溝にマチ針を差しこみ、
「シールドの留め具」に引っ掛けて外します。
図のように「シールドの留め具」には左右があります。この例では左に差し込むとうまく引っ掛かります。
「シールドの留め具」にはバネのような反発力があるので飛んでいかないようにご注意ください。無くしたら終わりです…。
「シールドの留め具」が外れました。
次に「シールド」を外します。
シールドは、ベアリングの裏からポンポン叩けば外れます。(オイル汚れで固着している場合はパーツクリーナーを一吹きすれば外れやすくなります)
シールドが外れました。
1年間オーバーホールしていないせいか内部のオイルは固着気味。なるほど定期的にオーバーホール(脱脂して新しいオイル)しないと性能発揮できないんですね。
これを脱脂します。
写真のようにベアリングをスプールシャフトに差しこみ、パーツクリーナーを吹いてから指で弾くように回すと、細部まで汚れが落ちると思います。
何回か繰り返します。
パーツクリーナーで洗い流す感じです。
これで脱脂は終了^^
オイルレスのベアリングになりました。
逆の手順で「シールド」「シールドの留め具」をはめ込みます。
ドライ処理
いよいよベアリングを「ドライコーティング」する作業です。
スプールシャフトにベアリングを差し込みます。
レボリューションBBを1~2滴、ベアリングのシールド部分にさします。液体はさらさらですので、すぐ内部に浸透します。
液体が均等に定着するようにベアリングを指で弾くように回します。数分間ひたすらに回します。
しつこく回しているとアルコール成分が揮発し、潤滑成分が定着してくると滑らかに回転するようになります。
そしてあるとき
回転は劇的に持続するようになります。
劇的に回るようになったらドライ処理は終了です。
この工程を2~3回繰り返すと皮膜が厚くなり耐久性が得られるそうですが、皮膜が厚くなりすぎると回転抵抗になるそうです。
当方2回繰り返した限りでは問題なく超回転しました^^
詳しくはメーカーの説明動画を参照ください。
最後にスプールピンを元に戻せば…
むひょひょひょひょ(*≧∀≦*)カンセー
慣れれば10分くらいの作業です^^
なお、
↑写真はダイワ「スパルタンRTTW」のスプールBBです。
スプールBBは防錆加工のCRBBでマグシールドではない(マグシールドはピ二オンBBのみ)なので分解OKなはずですが、「シールドの留め具」が見当たらないので自分の知識では分解できませんでした。
そこでシールドを付けたまま(写真の状態で)しつこく脱脂し、そのまま(写真の状態で)ドライ処理を施しました。
で結果としては、
予想に反して満足のいくドライ性能が得られました(笑)
ですので、必ずしも「ベアリングを分解しての脱脂」を行う必要はないのかもしれません。汚れ方次第なのかも^^;
サイドプレートのベアリングもドライ処理
スプールの回転性能を最大限に得るには
サイドプレート側のベアリングも同様に「ドライ処理」します。
つまようじやマチ針で「ベアリングリング」を外し、裏から叩くとベアリングがポロッと外れます。「ベアリングリング」がバネのように飛んでいかないようご注意ください。
※写真はダイワスパルタンRTTW
シマノStileはサイドプレートを分解しないとベアリングが外れませんでした。オイル固着のせい?
ベアリングの「分解」「脱脂」「ドライ処理」は上記と同じですので割愛します^^
最後にひとりごと1
回れば回るほど幸せになれるハンドスピナーと違い、スプールは回りすぎるとバックラッシュして不幸になります^^;
そのバックラッシュを防ぐため、フィネス系のリールには遠心ブレーキやマグネットブレーキがついています。回転性能を上げつつ回転を抑制してコントロールするわけですね。
またスプールの回転が良すぎてPEラインがフケれば余計な潮の抵抗を受け、仕掛けの落下は遅くなります。この場合は適度なサミングが必要になります。
ですからベイトリールにおけるBBドライ化は必ずしもスプールの最大性能を活かせるわけではなく、「あとちょっと」を可能にする+アルファと考えるのが妥当かもしれません。
最後にひとりごと2
今回私がドライ化を試した理由は別にあります。
それは淡水リールを海水で使用すべく、
ベアリングに防錆機能を付加するためです(笑)
レボリューションBBの硬質な潤滑剤はオイルのように飛び散らないので錆びにくいと考えましたが、どの程度海水に耐えるのかは使ってみないとわかりません。
はたしてその結果は7月にブログします^^;